参加国の紹介

アメリカ サンタクルーズ市:
サンタクルーズ市では、市民レベルでの自主的なまちづくり活動がとても活発です。地域経済圏保持の為、地元で商売を営み子供を育て、コミュニティの一員としての責任を担っている個人商店などをステッカーなどで識別して、優先的にそこで買おうという「Think Local First」運動や、有機農業家の子供たちが大学を卒業し、親の農業を継ぎたくなるだけの収入を得られる値段で消費者が買うことによって、消費者の子供たちも将来安全な食べ物を買い続けることができるようにという「Buy Fresh Buy Local」活動の展開、若者の地域づくり参画のための「Santa Cruz Next」活動、又様々なスポーツや音楽イベント、地域の芸術家を育てる活動などが市民主体で行なわれています。そこには、いわゆるサンタクルーズ・ユニークネスと称される、地域住民の地域に対する特別な意識がまちづくりの底流として形成され、これ以上の発展より、他からの影響を受けない自立的な地域圏確立を目指す方向にあるように見受けられます。
また、新宮市とサンタクルーズ市は35年の姉妹都市関係の中で、近年、単なる交流や親睦を超えた、相互のコミュニティにとって実質的な価値ある関係の再構築を目指して、初めての経済交流の試みを始めた経緯があります。この試みから、市民セクターによるまちづくりのノウハウの交換へと発展し、今回のフォーラム開催の契機となりました。また、サンタクルーズのカブリロ大学との提携で、新宮市におけるオンラインラーニングセンターの設置を現在計画しているところです。
スリランカ キャンディ市:
キャンディ市は、熊野より16年も早く、仏教の「聖地キャンディ」の名前で、ユネスコ世界遺産に登録されております。人々の生活の規範の中に、伝統や宗教の儀式を重んじること、眼に見えない、信仰に裏打ちされた死生観が存在し、大家族制の中の家族のつながりが地域コミュニティにまで広がった、相互扶助の意識を保持してきました。けれども、GNIの低さや、都市部での識字率の高さに比べた農村部での教育レベルの低さくる格差、また近年では、大家族制の崩壊傾向と伝統文化や社会との調和の乱れなどがスリランカの古都にも現れ、政府の観光戦略の無さが、未だ西欧向けのいわゆる「エキゾチックな緑の宝石の島・セイロン」に固執したことと、LTTEとの紛争の影響と事後の評価もあり、観光収入も減少しているということも指摘されているようです。熊野との対比では、熊野は、「霊場と参詣道」、キャンディは「聖地キャンディ」が世界遺産の登録タイトルであり、ともに神仏習合と上座部仏教の共通点があり、シンハラ王朝の古都として、熊野と同様に歴史文化資源が豊富に存在しています。現在、スリランカにとっての重要な課題は、まずコミュニティのレベルでの貧困からの脱出です。特に、内戦の50年間にスリランカの経済は大きく落ち込みました。スリランカにとって観光は最大の経済発展要素と言われますが、既存の観光産業ベースに乗らない、コミュニティの住民が誇りを持って受け入れることができる様な、特定の目的を持った訪問者によるツーリズムの開発手法が望まれています。